丑年と寅年はうなぎを食べちゃダメ!?その理由とは?

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うなぎ

日本には様々な食文化があり、その中には特定の動物や食べ物を食べないという風習も存在します。その一例として、「丑年と寅年に生まれた人はウナギを食べてはいけない」という風習があります。この風習の背後には宗教的・歴史的な背景が存在します。今回は、この風習の由来や理由について詳しく探ってみましょう。

虚空蔵菩薩とウナギの関係

虚空蔵菩薩がウナギと結びつけられる背景には、いくつかの説があります。

ひとつめは、ウナギが雨の神として崇められていたことです。ウナギは洪水の後に田から田へ移動する習性があり、その動きが洪水を鎮める象徴と見なされました。このため、ウナギは虚空蔵菩薩の使者または化身とされるようになりました​。

ふたつめは、虚空蔵菩薩が災害を鎮める力を持つと信じられていることです。洪水や自然災害が多かった地域では、虚空蔵菩薩への信仰が強まり、その象徴としてウナギが崇められるようになりました。結果として、ウナギを食べることは虚空蔵菩薩を冒涜する行為とされ、特定の地域や人々の間でウナギを食べない習慣が生まれました​​。

丑年と寅年に生まれた人の守り本尊

虚空蔵菩薩は、丑年と寅年に生まれの守りご本尊であり、知恵と慈悲を象徴する存在として広く崇められています。このため、丑年と寅年に生まれた人々は、虚空蔵菩薩の教えを特に大切にし、その象徴であるウナギを食べないようにするという風習が広まりました。これは、虚空蔵菩薩のご利益を受けるための一つの方法と考えられています。

食べてはいけない、と言うか「食べない風習」があるということなのですね。

地域ごとのうなぎを食べない例

埼玉県三郷市の例

埼玉県三郷市の彦倉虚空蔵尊では、ウナギが虚空蔵菩薩の使者または化身とされ、この信仰に基づいてウナギを食べない風習が存在します。この地域では、毎年「ウナギ供養会」が開催され、ウナギへの感謝と敬意を表すための儀式が行われています​。

東北地方の例

東北地方でも、虚空蔵菩薩の信仰が強く、ウナギを食べない風習が見られます。特に、仙台藩領では洪水が頻発し、その災害から村を守るために虚空蔵菩薩が崇められました。この信仰の中で、ウナギが洪水の象徴として崇められ、ウナギを食べない習慣が始まりました。​

茨城県稲敷郡の例

茨城県稲敷郡の馴柴村でも、ウナギが虚空蔵菩薩の化身とされ、生涯ウナギを食べないという風習があります。この地域では、ウナギが神のお使いとして崇められ、神聖な存在とされているため、ウナギを食べないことが信仰の一環として根付いています​。

うなぎ

ウナギの供養

ウナギを食べない風習を持つ地域では、ウナギへの感謝と敬意を表すための供養が行われています。例えば、埼玉県三郷市の延命院では、毎年「ウナギ供養会」が開催され、ウナギを殺生してしまうことへの反省や感謝の気持ちを表しています。このような供養は、ウナギを食べない風習が単なる禁忌ではなく、深い宗教的な意味を持つことを示しています​​。

現代のウナギの食習慣と環境問題

現代の日本では、土用の丑の日にウナギを食べる風習が広く根付いています。しかし、ニホンウナギは絶滅危惧種に指定されており、ニホンウナギを食することは環境問題としても注目されています。

日本でのウナギの供給量はピーク時から大幅に減少し、特に違法な漁業や取引がその減少に拍車をかけています​ ​。現在では中国や台湾からの食用ウナギの輸入に頼っている面もあります。

<参考資料>消費者庁:絶滅危惧種のニホンウナギは

ウナギへの感謝と敬意

ウナギを食べない地域の風習は、伝統を守ると同時に、だんだん減りつつある準日本産ウナギの保護の一環としても捉えることができます。例えば、埼玉県三郷市の延命院では、ウナギの命を敬い供養する「ウナギ供養会」が毎年開催され、ウナギへの感謝と敬意を表しています​ ​。

ウナギにまつわるお寺

うなぎのお寺「明星山 延命院」

「真言宗豊山派 明星山 延命院」はうなぎのお寺として知られています。この寺院は、虚空蔵菩薩を本尊としており、ウナギ供養が行われています。

毎年10月には「ウナギ供養会」が開催され、ウナギを扱う業者や料理店などが参加し、ウナギへの感謝と敬意を表しています。この供養会は、ウナギを食べないという風習を守り続けるための重要な行事とされています。

真言宗豊山派 明星山 延命院
http://unagino-otera.jp/
〒341-0053 埼玉県三郷市彦倉 1-83-1
TEL: 048-952-7381

うなぎを食べない風習が残る「平柳 星宮神社」

栃木県栃木市にある「平柳星宮神社」は虚空蔵菩薩を本地仏としてお祀りしているため、「こくぞうさま」という愛称でも親しまれています。
また、虚空蔵菩薩が「うなぎ」に乗る姿が信じられているため、当神社では神仏分離後も「うなぎ」を神様のお使いとして大切にしています。
神社の神職たちは、うなぎを食べないという風習を守り続けており、その伝統を垣間見ることができます。

【平柳星宮神社】
公式サイト:https://hoshinomiyajinjya.com/
住所: 栃木県栃木市平柳町1-23-26
電話: 0743-59-1128
創建: 621年(伝)
開基: 聖徳太子(伝)
拝観料: 400円(特別公開の期間中は500円)
拝観時間: 9:30 – 16:30
駐車場: 無料駐車場あり(6台分)
アクセス: 近鉄橿原線「平端駅」下車、徒歩15分

まとめ

ウナギを食べない風習は、単なる食の好みや文化の違いではなく、深い歴史と宗教的な背景があることが分かりました。丑年と寅年に生まれた人にとって、虚空蔵菩薩の教えを守るためにウナギを食べないことは、信仰と伝統の一部としてなのですね。

また、この風習はウナギが減ってしまっている今、環境保護や資源管理の観点から重要な意義を持っています。ウナギを食べることが一般的な日本においても、こうした地域の存在を理解し、尊重することが大切です。

とは言え、美味しいうなぎはやっぱり食べたいと思う丑年・寅年の人ももちろんいるでしょう。

大事なのは感謝の気持ち。心を込めて「いただきます!」と感謝して、有難くいただきましょう。

※それにしても「土用丑の日」がうなぎを食べる日になっているのは不思議ですね。虚空蔵菩薩はどう思っていらっしゃるのかしら??